rTMSによるうつ病治療では、ドパミン系の活性化が治療メカニズムの一端と考えられており、ドパミン系と神経連絡がある左大脳半球の背外側前頭前野(DLPFC:dorsolateral prefrontal cortex)の表層領域が主な刺激対象となっています1)2)。
一方で、DLPFCだけでなく腹外側前頭前野(VLPFC:ventrolateral prefrontal cortex)もrTMSによるうつ病治療時の刺激対象となる可能性が示唆されています3)。また、ドパミン系で中心的役割を担う側坐核や腹側被蓋野はDLPFC及び近接するVLPFCの深部領域とも神経連絡しているという報告もあり4)5)6)、DLPFC及びVLPFCの表層領域のみでなく深部領域へも刺激可能な刺激コイルの開発が期待されていました。
深部刺激を可能にする刺激コイルとして、BrainsWay社はHコイルを開発しました。Hコイルは立体的にワイヤを配置することでより遠位の領域で磁場を収束させ7)、従来コイルと電流強度を変えずにより深部の大脳皮質領域を刺激できることが確認されています(下図)8)。
3種類の試作コイル(H1、H2及びH1L)を用いて、うつ病治療時の刺激条件が検討されました。H1コイル及びH1Lコイルは左前頭前野(H1Lコイルは左前頭前野の刺激に特化)、H2コイルは両側前頭前野を刺激するよう設計されました。
既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められないうつ病患者を対象に、イスラエルシャラヴァタ神経衛生センターで65症例が登録されました。65例は無作為にH1群24例、H2群22例、H1L群19例に無作為割り付けしました。H1群とH2群では刺激強度を各患者のMTの120%(1.2倍)としましたが、刺激強度を検討するためにH1L群は120%刺激11例と110%刺激8例に無作為割付けされました。
週5回の治療を4週間実施した後、奏効率はH1群(47%)及びH1L群(60%)で高く、H2群では30%でした。110%刺激での奏効は確認されませんでした(0%)。寛解についても同様の結果でした。
本試験の結果から、うつ病治療時のコイルとしてH1コイルが選択されました。
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